教室に思いを馳せて

元中学校英語教師のブログです。

初めての卒業生の成人式で

10年ほど前、初めて3年生を担任した時の生徒の成人式がありました。

 

成人式のあとの同窓会に呼ばれたので、私ともう1人の先生と参加しました。

 

学年全体の同窓会だったので、100人以上集まっていたと思います。

 

参加する前から私がとても興味があったのが、「A君がどんな大人になっているか」ということでした。

 

学校ではほとんど人と話さず、その声を聞いたことがないという生徒が何人もいた彼。

 

素行はあまり良いとは言えず、勉強はしないし宿題を全く提出しなかったり、こっそりゲーム機を持ち込んだりして(と、生徒が教えてくれた)指導されることも多かった。

 

おとなしい性格というのもちょっと違って、生徒の話によるとブレイクダンスを習っていて、時々仲の良い友だちに披露してくれていたらしい。

 

話しかけても何にも応えないし、私にとっては全くの謎だった彼が、一体どんな大人になっているのかとても興味があったのです。

 

「先生、先生。」と懐かしそうに寄ってきてくれる卒業生に、「A君は?」と聞くと、「先生、A君こっちに座ってるよ!」

 

見ると、テーブルの隅の席にあの頃とあまり変わらないA君が座っていました。

 

そしてやっぱり中学生の頃と同じように、周りの子たちが私に教えてくれます。

 

「あのね、先生、A君ね、福祉の専門学校に行ってるんだよ!」

 

「…えっ⁉︎」

 

あのA君が福祉の道に進んでいるなんて、想像もしていないことでした。

 

仲の良い友だち以外の人とはコミュニケーションをとらず、滅多に自分を表現することがなかった彼。

 

そんな彼が、他の人の力になりたいと考えるようになるなんて!

 

いや、もしかしたら中学生の頃だってそう考えていたかもしれない。

 

私、なんにも分かってなかった。

 

子どもには様々な可能性があるということ。

 

宿題をやってこない、勉強もしない、自分の意見をちっとも言わない、不要な物を学校に持ち込む…こりゃ将来一体どうなるんだ?と思ってた。

 

「でも、ちゃんと自分で自分の道を決めて歩いていくんだ。」

 

 

同窓会の帰り道、一人で反省しました。

 

A君だけじゃない、どの子もちゃんと立派な大人になっていました。

 

この同窓会は、私に大きな発見をくれました。

 

懐かしさよりも、なんだか清々しい気持ちになって帰ったのを覚えています。