Take a Note : 元中学校英語教師のブログ

元中学校英語教師のブログです。授業のネタやちょっとしたコツ,教室での思い出など忘れたくないことを綴っていきます。

道徳の授業ってやっぱり大切

私が初任の頃に副担をさせていただいたクラスの担任の先生は,少し変わった方でした。

 

男性の先生でしたが,教室の生徒の机を二つずつくっつけて配置されていました。

 

その分スペースができて机間巡視しやすいと言えばしやすいのですが,席がくっついているものだから,隣の人と当然おしゃべりがしやすい。

 

特に,新任の私の授業なんかは私の声が聞こえないほどでした。

 

でもそれが,「自分のポリシーなんで。」ということ。

 

また,学級通信も4月に一度出したきりであとはゼロ。

 

それも「自分のポリシーなんで。」だそう。

 

そしてなんと,その担任の先生は一年間に一度も道徳の授業をしませんでした。

 

これも「ポリシー」なんだとか。

 

学級の棚に入れられた道徳の副読本は,新品のままでした。

 

そのポリシーとやらで担任の先生はうまく学級経営を行っていたようですが,一番困ったのは道徳の授業がある日でした。

 

体調を崩すことが多かったその先生は,学校を休まれることも少なくありませんでした。

 

しかも,なぜか道徳の授業がある日に限ってお休み。。。

 

で,副担の私が自習監督をしなければならないのですが,生徒たちは静かに読書なんてするはずもなく大騒ぎ。

 

毎週毎週ほんとうに苦痛の50分間でした。

 

そして,私はその一度も道徳の授業をしていないクラスで,道徳の研究授業をしなければならなかったのです。

 

たしか12月の寒い時期だったと思います。

 

道徳の副読本にある「裏庭での出来事」という題材を選びました。

 

同じ学年部の先生方も沢山アドバイスをくださり,何度も何度も指導案を練り直しました。

 

放課後,寒い教室で先生方が生徒役をしながら模擬授業も見てくださいました。

 

その担任の先生は5時になったらすぐに帰る(これもポリシー)方だったので,残念ながらあまりアドバイスはいただけませんでした。

 

そうして迎えた研究授業当日。

 

いつも私の授業では騒ぐ生徒も,多くの先生方が教室に入ってこられるとウソみたいに静かにしていました。

 

何度も指導案を練り,模擬授業も行っていたので私もまったく緊張しませんでした。

 

そして,本当に不思議なほど指導案通りに,というか予想通りに授業が進んでいくのです。

 

生徒の反応や意見,感想がうまいぐあいにこちらの狙い通りのものでした。

 

それは学年部の先生方が「多分こういう発問をしたらこんな反応が返ってくるよ。」とか,「こういう意見を生徒がワークシートに書いていたら,それを板書してあげて。」などと的確なアドバイスをくださったからに他ありません。

 

そして,気がつくと生徒もなんだか授業を楽しんでいるように見えたのです。

 

「あ,この子たち,今ちゃんと考えてる!」と思いました。

 

普段の私の授業ではそんなことは一度もなかったし,道徳の授業を一度もしていないクラスだったので,予想外のことでした。

 

授業は最後までうまくいき(私なりに),ホッとしながら教室を出ると,一人の男子生徒が私にこう言ってきました。

 

 

「先生,授業,大成功だったね!!」

 

 

私は涙が出そうになるのをこらえながら,「ありがとう!」と返しました。

 

その言葉がどんなに嬉しかったか。

 

その後の英語の授業はやっぱりいつも通りめちゃくちゃでしたが,その言葉は暖かいお守りのようなものでした。

 

 

道徳の授業が苦手という方もいらっしゃいますが,私は結構好き,です。

 

どう流れを持っていくか,どんな発問をするか,どう締めくくるかなど悩むことはたくさんあります。

 

でも,教材を通して様々な人の生き方や考え方を知ったり,他の生徒の意見を聞くことはとても大切なことだと思います。

 

そして,その生徒の様々な意見を聞くことが私は好きです。

 

準備に時間はかかるけど,時間をかけて準備したほどやっぱり生徒のくいつきも違ってきます。

 

自分はこう思っていたけど,こういう考え方もあるのか,と気づけるのが道徳の授業の良さではないでしょうか。

 

 

そう言えば,道徳の授業をしないポリシーを持っていたあの担任の先生は,10年後くらいに地区の道徳の研究員になってらっしゃいました。

 

ポリシー変えたのね。。。